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会社を辞めて旅に出た ~いつのまにか雲南定住~

会社を辞めて旅に出た ~いつのまにか雲南定住~

挨拶は握手で!

挨拶は握手で

 この宿チェックイン時の約束、「翌日は無料でトレッキング」の約束を果たしてもらうべく、午前9時過ぎ、ガイドと一緒に四駆に乗ってホテルを出発した。トヨタのランドクルーザーだ。車のフロントガラスにはガードのためか金属製の網がかけられている。これは未舗装道路を走る際、小石がフロントガラスに当たり割れるのを防ぐためなのか、あるいは強盗等が襲って来た際、身を守るためなのか定かではないが、ちょっと物々しい。ホテルから数分も進むと既に町外れ、所々の路上で、オバチャン達が畑で取れた野菜等を売っている。私も行動食用にと、バナナを一房買った。町を出てからはずっと未舗装の一本道、道路の両脇には畑や荒地、そして潅木が生い茂ったような林が広がっている。40分位走ると右手に集落が見え、そこで私とガイドの二人はランクルを降りた。そして午後3時に、またここまでドライバーが迎えに来ることを確認した。

焼畑 道路から集落へと続く小道をガイドの後ろについて歩いて行く。途中で村人とすれ違うと、ガイドが彼らと握手をして何やら挨拶をしている。私もそれに倣い、とりあえず「ハロー」と言って彼らと握手をすることにした。間もなく、また村人とすれ違う。ガイドはまた握手して挨拶をする。私もまたそれに倣う。結局、一番奥に住む村人の畑に到着するまで、すれ違った村人全員(50人は超える)と握手の挨拶を交わすことになった。男のみならず、女も子供もすべてとだ。最初は、ガイドが親しい知り合いと会い挨拶しているのかと思っていたが、これがパプアニューギニアでの挨拶習慣のようだ。うーん、なかなか疲れる挨拶だが、人間本来の姿とはこういうものかもしれない。まあ、忙しい日本では、人と会う度にこのようにやっていたら時間がかかって仕様がないけどね。

 この辺りは殆どが焼畑耕作をしている様子で、周囲には林を焼いた跡が所々に見える。また、まだ煙がくすぶっているような所もあった。そんな中を約1時間ほど歩いていくと、「ここが一番奥の畑」だというところに到着した。その畑で野良仕事をしていた男に、付近の森を案内してくれるよう、ガイドが依頼するとすんなり引き受けてくれた。しかし、時間は既に昼近くなりかなり暑くなっているので、鳥や動物はそう期待できそうにない。それでも、せっかくここまで来たのだから、その男について森の中に入って行った。さすがに畑に適さないところが森として残っているのだろう、いきなりの急斜面を登っていく。案内役の男はその山道を軽快な足取りで進むが、彼について行くにはこちらが必死で追わねばならない。しかも、彼は裸足だというのにだ!はっきり言って、周囲を観察する余裕などない。汗だくになりながら、それでも1時間半ほど森の中を歩いた。予想通り、全く収穫はなし。

蒸し野菜畑と夫婦  森から出た後、案内役の男の小屋で休ませてもらった。そうしたら男が蒸したカオカオ(サツマイモ)や豆、カボチャ等の野菜をバナナの葉に乗せて、食べるようにと勧めてくれた。せっかくの彼の好意なので、それぞれ少しばかり頂くことにした。味はうすい塩味で野菜本来の味わいが口の中に広がる。素朴で少し野性味のある感じだ。お腹が空いていたこともあり、結構美味く感じられた。彼ら(*1)にお礼を言って、また来た道を道路まで引き返した。やはり、帰りも村人と会う度に握手の挨拶だった。

 夕方、宿に戻り、ガイドと一緒にホテルの横にあるバーに行った。倉庫のような作りの建物は、天井が高くてだだっ広く、うす暗い。まだ夕方だというのに、中では男たちが数十名、いくつかのグループに別れビールを飲んでいた。よく見てみると女性も数名混じっている。ここでの飲み方は前払い方式。まずカウンターで金を払いビールを買い、それをテーブルまで運んで飲む。周囲を見渡すと、ビールケースをテーブルの脇に置いて男たちが飲んでいる。どうやら、1本1本買ったりはせずに飲む分をまとめて先に買っているようだ。その量も半端じゃない。豪快な飲み方である。私は、やはり冷えたビールを飲みたいので1本ずつにする。

 パプアニューギニア人は飲むと危険になることがあると聞いていたが、この場を見る限りでは、皆静かに、というか妙に暗い感じで飲んでいる。しばらくすると、奥のテーブルのほうで何やら「ドス、ドス」という重い音が聞こえた。見てみると、男たちが足で床を踏み鳴らして踊っているようだ(*2)。なかなか、ワイルドな感じがする。それから1時間くらいたった頃だろうか、今度はいきなり罵声とビール瓶が割れる音が聞こえた。どうやら、酔った客が喧嘩を始めたようだ。そして、その相手はバーのカウンター内にいる店のスタッフだった。客席と店のスタッフは、カウンターを境にして鉄格子で隔てられている。その中から、店のスタッフが客にビール瓶を投げて応戦しているではないか!全く驚きだ。店側が客にビール瓶を投げているとは・・・。やはり、ここは紛れもなくパプアニューギニアらしい。まあ、こういう揉め事があるので、カウンターから客が侵入してこないように鉄格子で仕切っているのだろう。なんとも・・・、である。ガイドと私でビールを4本ずつほど飲んだところで引き上げることにした。まだ午後8時頃だが大方の客も帰り店のほうでも閉店準備をしている。パプアニューギニアでは夜遅くまでは営業しないようだった。今日は昼も夜も、なかなか貴重な体験ができたなと、部屋のベッドに横になり思ったのだった。  次を読む

*1 森を案内してくれた男は、見たところ40歳位に見えたが、傍らにまだ20歳過ぎほどの若い妻(多分、娘ではなく)がいたので、本当は彼はもっと若いのだろう。彼が言うには、私が彼にとっての初めて接した外国人ということだった。
*2 パプアニューギニアの踊りは、体に色を塗って鳥の羽などで頭等を飾りつけ、地面を踏み鳴らして踊るようだ。残念ながら、選挙キャンペーンの際に車で通りかかったときにチラリとみただけの一度きりだった。独立記念日(9月中旬)にEastern Highlands ProvinceのGorokaで、8月にWestern Highlands ProvinceのMt.Hagenでフェスティバルが開催され、彼らの踊りが見ることが出来る。



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